散歩道<1293>
海外メディア・深読み(2)深まるイラク危機 (1)〜(3)続く
9月29日のアラブ圏有力紙のアルハイヤに寄稿した中東に詳しい英国の作家パトロック・シール氏は、「いま大西洋を挟む米国と英国で同じ議論が進んでいる。イラク戦争は米英をより安全にしたか、逆により危険にしたかという議論だ」と書く。シール氏発表情報をもとに、「7月と8月でイラクで約7千人が死亡し、うち5千人以上がバグダッドで亡くなっている。遺体安置場は一杯で、毎日、遺体が路上に捨てられている。危険を恐れて20万人が自宅から避難している。国連報告書では、拷問は前政権よりもひどくなった」と深刻な情勢を記す。その上で、「頑固なブッシュ大統領がいつになったら、やり方をかえて撤退する時期だと考える時がくるのか」と締めくくっている。シール氏は早期撤退論に傾いている様子だが、同じくハヤト紙のガッサン・チャベル編集長は9日付の論評の中で「イラクでの米国の失敗はもはや秘密でもなんでもない。より深刻なのはイラク自身の失敗である。イラク人は米国の駐留に反対するが、米国が撤退すれば大破局がくるだろう」と恐れを表明する。
'06.10.11.朝日新聞・編集委員・川上泰徳氏