散歩道<1277>
ワールドくりっく ・避けたい「文明の衝突」イスラム教徒と共闘を(1) (1)〜(3)続く
古い話で恐縮だが、昭和天皇が1971年に訪欧した時だ。オランダで車に生卵が投げつけられるハプニングがあった。テレビで見ていた友人が「ひでえことをしやがる」とつぶやいた。それを今もはっきり覚えているのは、彼が「天皇に戦争責任あり」論者だったからだ。卵が投げつけたオランダ人は天皇の戦争責任を非難していた。友人と同じ意見だ。にもかかわらず友人は反感を抱いたのである。 国家、民族、宗教そうした要素がからむと、メッセージは額面どうりに伝わらず、ややもすると反発を引き起こす。それがこの手のややこしさである。
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ローマ法王ベネディクト16世が12日、母国ドイツの大学で講演し、「イスラムは邪悪で惨酷」とした東ローマ帝国皇帝の言葉を引用して「暴力は神の本質と両立しない」と語った。これがイスラム世界の大反発を招いた。パキスタン議会は15日、「法王の侮辱的な発言はイスラム世界の感情を傷つけた」と、発言の撤回と謝罪を求めた。エジプトの「ムスリム同胞団」はイスラム諸国に対し、法王の謝罪がなければバチカンとの外交関係を断絶するよう呼びかけた。動きはサウジアラビア、マレーシア、パレスチナなど各地に広がっている。
'06.9.28.朝日新聞・松本 仁一氏