散歩道<1250>

                     経済気象台(70)・未来の富に向けた行革

ポスト小泉争いは、安倍氏優勢にあるが、その政権構想で、「官邸主導の行政改革」を提示した点が注目される。折りしもA・トフラ-氏の著作『富の未来』が話題を呼んでいるが、その中にいくつか新政権の経済運営に示唆する点がある。一つは、「富の源泉は変化にあり」だ。これまでの富の源泉は、農業、工業、知識と変遷していると指摘する。新政権は「知識」「変化」をうまく取り入れるのが肝要。まず「知識」を農業、工業、などモノ作りの面にも生かすことだ。バイオやナノ技術を活用すれば、農業の生産性は飛躍的に高まり、成長産業にもなり、しかも食料自給率も高まる。その際、農協制度の改革が必要だ。工業分野でもしかりで、最新の知識や技術を導入して第2の産業革命を起すぐらいの気概が必要だ。もう一つが行政改革だ。富の未来によると、この変化に最も対応できていないのが日本の官僚組織だという。官僚が経済運営に大きな影響力を持つとすれば、「変われない官僚組織」が日本経済の足かせになる。実際、これを裏付ける事例に事欠かない。小泉政権が政府系機関への官僚の天下りを制限すると、途端に主要官僚ポストに「留任」が続出する。留任させるにあたっては、担当業務が多忙で、担当者を変えられないとの理由が必要で、そのために金融界では保険業界や地方金融機関の検査強化や処分、再編促進を図っている、との指摘までなされる。そうなると本末転倒で、経済に余計なコストをかける。患者が自らメスを入れるわけにはいかないから、強いリーダーシップをもった官邸主導の行政が必要になる。その実を上げるためには、天下りをなくす分、公務員の退職金を割増すること、また民間企業との人事交流、米国などで見られる上級官僚の政治任命制、公務員試験の廃止などが有効か。

'06.9.7.朝日新聞

関連記事:散歩道<410>面白い話・官僚制