散歩道<1244>
経済気象台(68)・誰か烏の雌雄を知らん
世界経済の潮流変化に翻弄されている日米両金融政策の迷いが、さらに波浪を高くしている。7月、ゼロ金利政策を解除した日銀も消費者物価が落ち着いているので、追加利上げとまで行かず、勇み足の利上げでデフレに逆戻りした2000年8月の二の舞を演じる懸念すら出る。又利上げ打ち止めの機会をうかがっている米連邦準備制度理事会(FRB)は8月、利上げを見送ったが、この先、利下げか、利上げ再開か不透明だ。日本の場合、日銀の利上げが遅れれば遅れるほど、外為市場では円安圧力が続く。金利の安い日本円を調達して、金利の高い国の通貨に乗り換える動きがそのまま円売りにつながるからだ。米国も同様に、利下げをすれば、金利高のユーロなどをめがけてドル離れが進み、外資が逃げてドル不安も高まる。世界経済は原油価格の高騰、資源確保競争の激化などでインフレ圧力が増しているため、今の時点で、世界主要国の金融政策はインフレ抑制に軸足がある。しかし、世界的に消費者物価の値上がりは鈍い。デフレの安値になれた消費者が、狼狽(ろうばい)買いにはしらないせいもあるが、中国など新興工業国製品の安値輸出攻勢が、世界の物価抑制に寄与している。中国が人民元を輸出に有利な水準に固定している限り、世界のインフレ抑制力として働いているという奇妙な現象だ。ポールソン米財務長官が近く訪中し、人民元切り上げを促す意向だが、元高は対米輸出品が値上がりするインフレ圧力で、米国の利上げ再開につながる。元高に、もし円が連れ高に振れると日本の輸入原材料が下がり、やはり、日銀の追加利上げは遠のく。「誰か烏の雌雄を知らん」で読みが難しいが、日本では福井日銀総裁の去就も絡む小泉後継政権の発足、11月の米中間選挙と、日米金融当局とも景気を左右する金利を下手にいじれない環境にあることも確かだ。