散歩道<1243>

                  経済気象台(67)・製造業の格差拡大

 製造業と下請け企業という二重構造の問題はわが国における格差の原点である。各メーカーは円高の時にもバブル崩壊後の立て直しの際にも、危機に直面するたびに真っ先に下請け企業にしわを寄せてきた。今でも収益確保として、毎年一定の請負単価カツトをノルマ化しているメーカ−すらある。史上最高益を上げようが、発注条件の修復は殆どない。結果として、格差はかってないほどに拡大している。企業格付けや敵対的買収への備えということもあり、各企業の経営者は業績をさらに拡大し、配当を増やし株価を上げようと考えている。そのためにはコスト抑制は至上命題ということだろう。トップがそうなら、現場で采配を振るう管理職が下請け企業を顧みるはずがない。また、かっては下請け企業の組合員を守ることを自負していたメーカーの労働組合も変った。自分が受け取る賞与が純然たる業績比例となったのである。自社の業績のために下請け企業への支払いを抑えよう、と思っている。メーカーと下請け企業とは買い手と売り手、本来なら立場は対等のはずだが、わが国においては多くの場合、メーカーが圧倒的に優位、下請け企業は使ってもらっているという関係で、公正な取引条件など存在しない。各メーカーが我が世の春をうたい、その従業員が高級をほしいままにしているその時に、基盤をになっているともいえる下請け企業は劣悪な作業環境、労働条件のもとで従業員を働かせ、それでもまともな利益を出せない。両者の格差がここまで拡大すると従業員の意欲の問題、雇用定着の問題、採用問題などを通して下請け企業の質は必ずや悪化し、つけとなって様々な形でメーカー自身に返ってくるだろう。労働災害、設備事故、生産障害、品質トラブル・・・・。メーカー、下請け企業どちらにとっても放置できない深刻な問題となっている。

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