散歩道<1242>
経済気象台(66)・天下りとプロの経営
最近、役人の天下り批判がかまびすしい。物資の調達や許認可権限を当て込むなどした天下りは、あまりふさわしいとは言えない。しかし、見識が高く、一般企業ではできない経験を持ち、全く違う視点で企業経営に付加価値を与えられる人材であれば、役人OBというだけで批判の対象とされるべきではない。さらに、天下りは何も役人に限ったことではない。大企業の役員から子会社などへの天下りも、あまりほめられないものがある。多くの大企業では、役員になることはそれ自体が目的化している。そして、いったん役員になると、1年でも長く役員にい続けることを目指す。そうすることが最もメリットがある制度だからで、退職金をたくさんもらえ、有利な天下り先を世話してもらえる。そのような企業では、役員になると、働いても働らかなくても処遇はさほど変わらない。一定年齢まで身分保障が受けられるケースもあるようだ。あえてリスクをとって新たな事業や試みに挑戦したところで、成功してもさほど評価は期待できない半面、もし、失敗すれば相応にリスクだけは負うことになる。結局、人事権をもっている人間の意向に沿う言動が主となり、経営者としての主体性や経験を身につけないまま、論功行賞として天下りする人達が増える。このようなことは、役員そのものの資質に問題があるわけではなく、制度の欠陥に起因する。本来、大企業の役員になるほどの資質があれば一定の市場価値をもつはずで、身分保障などさらさら必要ないはずだ。米国のある企業では、自社のトップ150人程度はフォーチュン500企業の最高経営者(CEO)をこなせる、といっているそうだ。わが国でも真のプロフェッショナル経営者の輩出を促すような制度への転換が望まれる。
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