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                           幸せ大国をめざして未来を選ぶ(2)

                      
豊かさ・「消費は美徳」でいい?

 新しい機能をめぐる競争は薄型テレビやDVDレコーダだけではない。今一番の人気は、光でビタミンを増やす冷蔵庫だ(三菱)。また暖かい料理をそのまま保存出来る機能を持つものもある(シャープ)。商品のモデルチェンジは白物家電で1年、パソコンで半年、携帯電話で3ヶ月。大手広告会社の電通がインターネット上などで消費者に書き込んでもらった膨大な資料からコンピューターで傾向を読み取るという。日本消費者協会は商品知識に乏しい高齢者のために機能を解かりやすく説明、本当に必要な機能が加わったのかは疑問である。機能を通話だけに絞った携帯電話を出して大ヒット(分厚い説明もない)。長期不況の中でも客足が衰えない日本の百貨店を、英国のジャナリストは「ゴールデン・リセッション」(黄金の不況)と表した。百貨店の最大手高島屋の全国直営店18店に足を運ぶ人は年間2億2千万人、人気パーク東京デズニーランドの入場者の10倍、それでも業界の販売額は前年割れする月が多い、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費は成長の牽引役として期待される。90年代の「失われた10年」の間、米欧から内需拡大を求められた。今も官民挙げて「消費拡大」のかけ声がかかる。かって日本では「倹約は美徳」と説かれた。二宮金次郎は倹約のシンボルとされ明治政府は教科書に採用した。「消費は美徳」なのだろうか。高度成長を経て、70年代初頭には当時の田中首相は「列島改造論」で地方を巻き込んで一層の成長路線を唱えた。「日本経済を米国並みの成長と暮らしに近づけることに腐心した。質素・倹約なんていうのは二の次だった」と振り返る。バブル経済崩壊後に政府が投じた景気対策の総額は130兆円超。先進国で最悪の財政状態に転落しても消費を増やそうと政府はあの手この手を打った。日本だけでなく世界は消費を増やし、経済成長を続けなければ成り立たない経済システムに身を置いている。それが技術革新を促し、人々を豊かにしてきたのは間違いない。そのシステムもきしみが生じている。大量消費社会の米国のバリー・シュワルツ・スワスモア教授はモノがあふれる現在のような豊かな社会では選択技や豊かさが増加するにつれて幸福感の低下を招くと指摘する。過去30年で米国のGDPは2倍以上になったが、「非常に幸せ」と感じる人は5%減ったという。その米国で今「LOHAS(ローハス)(Lifestyles Of Health And Sustainability)と呼ばれる健康と持続性を重視した生活様式に注目が集まる。機栽培食品、省エネ電化製品、低燃費車など健康や地球環境を意識して商品を選んでいる消費者群を指す社会学者のポール・レイ博士の分析で米国成人の3割、約6千万人を占めているという。「子孫に美しい地球と健全な社会を残そうとする文化は確実に広がっている。既存企業は生理的にこの考えを受付なかったが、最近はウオール街の人々も渋々認めるようになった」と話す。日本の消費者はどうか。内閣府の調査でも「ものの豊かさより、心の豊かさやゆとりのある生活を優先させたい」という回答が全体の」6割を占めた。環境コンサルタント会社「イースクエア」で全国2千人を対象にした日本でのローハスの実態を調査中だ。2月来日したノーベル平和賞受賞者ケニア環境副大臣ワンガリ・マータイさんは「日本に来て『「もったいない』というすばらしい言葉を知りました」と。先人から受け継いだもったいない」の言葉と精神。その意義がいま、外から改めて問い直されているかのようだ。

朝日新聞.05.4.10.


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