散歩道<1235>
                        経済気象台(63)・ものづくりの現場

 若者の製造業離れの原因の一つに「仕事が理解されていない」ことがあげられるだろう。サービス業と異なり、仕事が外から見えにくいために、単調なライン労働といったイメージを持たれてしまっている。製造業を紹介するテレビの映像などはほとんどそうした場面である。しかし、ライン労働は部分であるし、かつラインの仕事も絶えず変化している。また製造業自身にも説明不足がある。製造業の良さを積極的に訴えていないのではないか・・・・と思っていたのだが、先日、東京・板橋の20人ほどの企業が中学生や高校生を相手に、インターンシップに取り組んでいる事例に出くわした。例えば、中学生にCAD(コンピュータ−による設計・製図)を教えて、ペーパーナイフや文鎮などを作らせる、というのである。二つ作らせ、一つは誰かにプレゼントするように勧めるという。中学生たちは自分で製作したものを「こういうものをつくったのでプレゼントしたい」と知人に電話する。素材がある形状に加工される過程にかかわってこそ、製造業の面白さがわかる。大切なのはこうした努力だろう。もちろん、どの工場も目いっぱい忙しい。自社の就職につながる、インターンシップ以外には手がまわらないのもよくわかるのだ。しかし子供や若者に、ものつくりの素晴らしさを知ってもらうのは将来への投資でもあろう。大学の掲示板には、夏休みに入ってもまだ来春採用の求人が続々と張り出されている。年間休日数や賃金など、正社員に限ってのことだが、製造業の採用条件の改善は進んでいる。伝えられる偽装請負*1などはごく一部の動きであると思いたいのだが、どうだろう。現場の劣化は長期的に見たら明らかにマイナスである。そこでは技術もロイヤリティーも育まれない。「カイゼン」は現場にあるのではないか。

'06.8.15.朝日新聞

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