散歩道<1207>

            漂流する風景の中で・岩井克人さんと考える(2)・資本主義と会社           (1)〜(5)続く  

経済の中心は人間へ移行 

 利益を生み出す「違い」は、もちろん人間の頭脳しか作り出せない。だが、お金でものが買えないものはないが、人間はお金では買えない。人間はモノではなく、意思も感情も持つ。いくら札束を積んでも、人間の頭脳の中の知識や能力をすべて支配することはできない。経済の中心が、あきらかにお金から人間へと移っているのだ。現代は「お金が支配している」時代とよく言われる。だが、それは原因と結果を取り違えている。産業資本主義の時代には、お金を機械制工場に投資すれば確実に利益が得られた。ところが、利益の源泉が、お金で買えない人間の頭脳に移ったことによって、お金は確実な投資先を失ってしまった。だからこそ、少しでも良い利ざやを求めて、お金が世界中を動き始めた。それが世に言う「金融革命」であり、「グロバリゼーション」なのである。

'06.7.25.朝日新聞・東大教授・岩井克人氏

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