散歩道<1204>
経済気象台(56)・偽装社会(1)
「偽装」という言葉がメディアをにぎわすのは、姉歯・元1級建築士による耐震強度の偽装構造計算書以降である。直近では一流大学の製造現場における偽装請負も次々露呈されている。その間、それ以前でも様々な名称で呼ばれる偽装行為が政・官・民のあらゆる分野で相次いでいる。正解では、日歯連の1億円不正献金にからむ平成研の政治資金報告偽装による裏金作りや、最近では最大野党が解体の危機寸前にまで陥った偽装メール事件があった。企業については、雪印食品にはじまる輸入食肉偽装報告、三菱自動車のリコール隠し、三井物産の排ガスデータ改ざんなど法令報告書の偽装や、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載、カネボウ、ライブドアなどの粉飾決算という会計報告の偽装が横行している。また、多くの国内産業で目立つ談合は入札偽装といえるが、結局は弱体化させるにもかかわらず、消費者を欺き続けている。「民」の代表であるNPO団体なども偽装と無縁ではない。大学でも、早稲田大学をはじめ研究補助金の不正流用が頻発している。中でも、最も深刻なのが国、地方をとわずいたる所で目立つ、「官」の偽装だ。メディアも忘れ去ったかに見えた裏金問題は、岐阜県の驚くべき実態で再び脚光を浴び出している。今後相次ぐ懸念される自治体破綻の先駆けとなる夕張市は、一時借入金という債務を隠した上に、職員の賞与を増額までしたが、財政再建団体となることで市民にツケを回そうとしている。官制談合という名の偽装入札も、道路公団や防衛施設庁で逮捕者を出した。この国には元々フェアという規範はなく、正義という徳目も失われ、底なしの「偽装社会」になり果ててしまったようである。この国の品格はどこまで落ちて言ってしまうのだろうか?
'06.8.26.朝日新聞
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備考:'07.10.14.朝日新聞・偽装防止建築基準法改正・審査強化・着工は激減、業者悲鳴価格転嫁も