散歩道<1191>
私の視点・「小さな政府」論争・3つの誤解を改める時(2) (1)〜(3)続く
第2の誤解は、政府の歳出と経済パフォーマンスは必ず対立するとの認識だ。日本の「小さな政府」論争はこの任資金お影響を受けている。アナリストたちは、政府は増税より歳出カットに力を注げと主張する。なぜなら増税は成長を抑制するからだという。しかし、日本を含む先進19カ国を調べたハロルド・ウィレンスキー教授の研究によると、政府の歳出水準が高い国は、低い国と比べ、国民の福利厚生面(例えば、公正な所得分布や健康、雇用、安全、環境など)でよりすぐれた成果を上げているし、国民1人当たりの国内総生産(GDP)が高く、インフレ率も失業率も低いこともわかった。 三つ目の誤解は、経済成長と平等は対立すると言う前提だ。コメンテータ−たちの多くは、日本は成長を維持するには平等を犠牲にしなければならないだろと論じている。だが、日本は戦後、成長も平等も同時に実現してきたではないか。日本は平等にもかかわらず成長できたのではなく、平等だからこそ成長を達成したのである。今日の日本の経済状況は、かってとはまるでちがっているとはいえ、格差が広がっても仕方がないということには成らないだろう。
'06.9.2.朝日新聞・カリフォルニア大バークリー校準教授・スティブン・ボーゲル