散歩道<1187>
 
                  小泉改革で経済どう変わったか・不良債権処理で景気回復(1)     (1)〜(3)続く             

 5年半に及ぶ小泉政権では、様々な改革が話題を呼んだ。その成果や今後については賛否の様々な議論があるが、道路公団民営化 や郵政民営化など、政府部門の改革が進んだ。しかし、民間経済への影響と言う意味では、なんといっても不良債権処理の実現が、小泉改革の最大の成果だろう。90年代は初めから続いたこの問題をおおむね解決し、日本の景気に明るさをとり戻した。この点は、だれもが口をそろえて評価する。当初7年はかかると言われていた不良債権の正常化を竹中平蔵の強硬路線を採用することにより、ほぼ4年で達成した。金融システムの正常化で、株価も上昇し、経済の見通しは03年ごろからみるみる明るくなった。国内総生産で見ると、生産の回復は不良債権の集中治療中だった02年から続いていて、それには外需など様々な要因もからんでいる。しかし、銀行システムの正常化が経済の大きな不確実性を払拭し、企業活動の回復を支える力になっていることは間違いない。景気回復が続いたため、 ようやく今年になって、デフレ(物価の下落)もほぼ脱却できそうな段階に来た。3年程前までは、構造改革に反対する意見として、デフレをまず脱却しなければ、不況(生産の減少や倒産、失業の増加)は終らない、という意見が強かった。しかし、その後の展開を見ると、デフレが終ったから不況が終ったのではなく、不況が終ってから数年たって、デフレ脱却が遅れてついてきた。やはり、改革によって金融システムを健全化したことが不況を終らせた大きな要因だったと言っていいのではないか。また、小泉政権の5年間で、公共事業の削減が続き、談合の摘発も強化された。会社法の改正や、公認会計士への司法的責任追及など、企業法制の環境も大きく変わった。多くの分野で競争原理が強まり、日本経済の体質強化したといえる。

'06.8.28.朝日新聞 小林慶一郎氏

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