散歩道<1165>
「好感」のありか(1)・つながり求めて伝統回帰 批評なき記号「かっこういい」 (1)〜(3)続く
ようこそ日本へ:資生堂のシャンプー「TSUBAKI」が、20〜30代の女性を中心に、4ヶ月で2千万本の大ヒットを記憶した。「日本女性は美しい」そんなコピーを繰り返し、椿オイルで美しい黒髪をめざす。モードの最先端をめざす化粧品メーカが「古きよき日本」のイメージをまとう。シャンプ界の女王「ラックス」はCMにブルック・シールズらハリウッド女優を起用して「あこがれの女性像」を示してきた。だが7月、初の日本人としてモデルとして富永愛をその列に加えた。数学者・藤原正彦著「国家の品格」が今月、発行部数214万部を突破した。英語より国語、民主主義より武士道精神と説き、ここでも「古きよき日本」を感じさせる。購読者の中心は30〜40代と意外と若い。そして安倍普三官房長官の新著は『美しい国へ』だ。いまなぜ、こうしたイメージに好感が寄せられるのか。京都大学名誉教授(政治史)の野田宣雄さんは、猛烈な破壊力を持ったグローバル化の大海原の中で、『自分のアイデンティティーと居場所を求め、必死にブイに手を伸ばすように、日本的な伝統へ回帰しているのだろう。」と話す。武士道精神はブイのひとつに見えたのだろう、と。電通総研が05年に発表した「世界価値観調査」で、自国民であることに、「誇りを感じる」という答えは日本が57.4%。これに対し、世界59カ国の調査(00年)で、同じ回答を平均すると80%を超す。誇りをあまり感じられないから求めているのかもしれない。
'06.8.22.朝日新聞
関連記事:散歩道:武士道の話は散歩道<939>〜<943>迄続く、<862>再魔術化(1)〜(3)、2008年1月31日追加