散歩道<1157>

                        小泉時代とこれから(3)・外交・安保         (1)〜(5)続く

対アジア:ASEAN引きつけ中国牽制を

・・・・・地殻変動のもう一つの要素は、中国の台頭です。

 「中国の軍備増強は前から続いており、海軍力を拡大し、核戦力の世代交代まで向かおうとしている。ただ、中国の役割変化と言う意味では、なによりも経済。日本最大の貿易相手国が中国になり、日本との経済的なつながりが圧倒的に深かった東南アジア諸国連合
(ASEAN )が全部中国を向くという変化が起きた」

・・・・・アジアで中国の求心力が飛躍的に高まった間、日本は何をしていたのでしょう。
 
「空白だったと思う。各国が前より豊になり、日本の経済協力が行き詰まった。経済援助に頼るアジア外交に代るものをつくらなければならなかったのに、政策の空白が続いた。そのうえ靖国問題が起き、さらに動かなくなった」

・・・・日中両国のナシヨナリズムが高まるのも最近の特徴の一つです。

 「中国のナシナリズムは時期により少し、違いがある。90年代に、中国が共産党への支持を調達する手段として歴史認識を使ったのは間違いない。下からわき上がってくるものではなかった。今はもっと深刻。民主化はしていないが。多元化していて、危い変動期。対日強硬姿勢を求める社会がある。だが中国政府も割れている。人民解放軍や党のイデオロギー部門は日本が『敵』でいた方がいい。他方、経済テクノクラートは軍事大国より経済大国にかじを切りたい」。「日本でも財界から見れば、靖国問題があるために日中の政策協議が出来ないのは異常なこと。一方、『中国の脅威』を強調した人たちは、中国に靖国批判をしてもらった方がいい。両国の内向きのナショナリズムが、鏡に映しあうように強化される状態にある。

'06.8.19.朝日新聞・東京大学教授・藤原 帰一氏

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