散歩道<1140>
経済気象台(52)・格差拡大
最近、格差拡大と言う言葉をよく耳にする。一口で格差といっても、個人の所得格差や地域経済格差などさまざまである。個人の所得格差については、5年前より拡大したと感じている労働者が6割を超えている。との調査結果もある。企業の処遇に対する考え方が年功給的なものから、より業績を重んじるようになったり、採用方針の変更により正社員の数を減らしてパートタイムの労働者を多く採用するようになったり、社会現象の一つとなっているフリーターが増えたりしたことなどの理由で、個人や世帯の所得格差が拡大したと考えられる。確かに、所得格差は拡大傾向にあると思える。しかし、労働の機会や企業内での業務チャレンジの機会均等が確保されていれば、所得格差はやむをえないと思う。一方、地域経済の格差拡大は日本の経済にとって、より深刻な問題といえよう。大都市に人口や産業が集中し、かつ東京に政府機関の中枢が集中している中、従来から大都市と地方との経済格差は存在していたが、最近東京から東北、四国、九州と回ってみると、これがさらに拡大しているように実感した。地方銀行ごとに発表されている不良債権の状況をみても、地域ごとにバラツキがあり、地域間同士でも格差が拡大しているようだ。景気が長期にわたる低迷からようやく回復軌道に移る過程では、地域ごとの回復速度の違いから地域間の経済格差が顕著になる傾向はあるだろう。しかし、大きな財政赤字を抱える政府から地方への公共投資も限られ、地方の歳入不足を補っている国からの地方交付税の削減も議論されており、地方の経済復興のための資金は国からそう簡単には還流されそうにもない。ここは早期に地方が国と協力し合い、地方経済活性化のための特色ある産業や観光事業を見直す必要があると感じる。
'06.8.8.朝日新聞
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