散歩道<1135>
ウエッブが変える・対論・ネット新時代何もたらす(4) (1)〜(6)続く
しかし、ウエッブ2.0がそのまま知の革命になる、というのはあまりに安易すぎるのではないか。参加者が増えてくれれば、色々問題もおきてくる。多くの人の意見を並列に集めれば、そのまま自動的に新しい知が生まれるわけではない。多様な意見を組み合わせ、建設的な集合知を育てていくための方法はまだ未開拓だ。ウィキペディアのデターはかなり正しいし、年代や人名など調べるには便利だが、歴史解釈や人物評価などになると、どういう視点から記述するかが不明確になりがちだ。グーグルなどの検索サービスは、情報のランクをコンピューターで自動的に評価し、他の人に参照されることで人気のあるページが、検索結果の上位に来る。しかし、人気がなくても重要な情報はある。民主主義の本質は、多数決による自動決定ではない。少数意見も含め、討論の中から合意点を探っていくプロセスだ。情報を探っていく組み合わせ、深い知を探ることなく、ひたすら自動化を進めれば、その先にあるのは衆遇でしかない。グーグルでグーグル検索できるのは、記述的、分析的な知識にすぎない。これらは無論大切だが、人間は言語化できない暗黙知や身体知、直感という能力を持つ。ウエッブ2.0
の技術を使いこなし、いかに人間の知恵を深めていくかということが本来、重要だろう。今後の議論を期待したい。
'06,7.28.朝日新聞・対論・東京大学教授・西垣通・ミューズ・アソシエイツ社長梅田望夫氏
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