散歩道<1133>

                 ウエッブが変える対論・ネット新時代何もたらす(2)
    (1)〜(6)続く

 さらにグーグルの出現は画期的だった。90年代には、新聞や雑誌に似たヤフーなどネットの入り口を支配する、「ポータル」が盛んだった。ところが、グーグルは情報そのものに注目して整理しつくそうとした。数字を徹底的に駆使し、情報の価値付けを自動的に行なうことで、キーワードを入れるだけでネットをうまく整理してみせ、広告をつけることに成功した。グーグルという会社は、ユニークな存在だ。本来の意味でのハッカ-が集まり、コンピューターに夢を託す純粋な善意の文化を受け継ぐ。社会と摩擦を生んでも、プログラムを少し変更して対処する以上のことはしたがらない。発展途上のネット社会は柔軟に対処していけばよくなる、という発想で動いている。米国にもグーグル批判はあるが、十分評価したうえでのことだ。その支配力を疑問視する一方で、市場の競争で全体を進化させていこうとする。しかし日本では、問題点ばかりを指摘しすぎる。現在起きているのは、新しい「知のゲーム」リナックスに代表されるオープンソース運動は、世界中で300万人のボランティアが参加し、マイクロソフトをも脅かす。ウィキペディアやブログでも大勢の人の知が、すごいスピードで交換され、それらをグーグルが結んでいる。ウエッブ2.0 は教育や情報産業に大きな影響をや混乱をもたらすだろうが、パンドラの箱はもう開いてしまった。その進化を前提に、どうやってともに生きていくかを考えることの方が重要だ。100年後に現在の動きを見たら、ウエッブ2.0 に象徴される変化は、歴史上の大きな転換点だったと評価されるのではないかと思っている。

'06,7.28.朝日新聞・対論・東京大学教授・西垣通・ミューズ・アソシエイツ社長梅田望夫氏

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