散歩道<1121>
思想の言葉で読む・21世紀論(1)・時熟
揺らぐ人間の時間感覚 (1)〜(2)へ続く
急速な情報化が進む社会に中に、不思議な浮遊感や落ち着かない気分が広がっているといわれている。背景には時間と人間の微妙な変化があるのではないか。そう疑う人が多くなっている。「現代人は深刻な知覚の変容に直面している」。哲学者のデリダは言い残した。日常的に触れるメディァの中では複数化された過去の時間と現在が混在している。そのために人間の時間感覚は大きく揺らいでいるのだという。米国の情報学者ウイリアム・j・ミッチェル教授は、電子的な情報ネットワークの拡大によって人々の時間観が一変したとみる。時間は流れるように連続していると思われてきたが、デジタル時代の時間は不連続だという。古来の時間の概念は「ボロボロになり始めた」と教授は強調する(『サイボーグ化する私とネットワーク化する世界』NTT出版)何年か前から、世界の思想家にインタービユーすると、時間の形が変わったようだという人が多い。
'06.5.23.朝日新聞
