散歩道<1117>
昭和天皇の重い言葉(2)・A級戦犯合祀 (1)〜(2)続く
メモに「A級が合祀され、その上松岡、白鳥までもが」と記されている。日独伊三国同盟を推進した松岡洋右元外相と白鳥敏夫元駐イタリア大使への怒りもうかがえる。A級戦犯の合祀に対し、昭和天皇がかねて不愉快感を示していたことは側近らの証言で分かっていた。それなのに、昭和天皇が靖国参拝を辞めたのは合祀が原因ではないとする主張が最近、合祀を支持する立場から相次いでいた。75年三木武夫首相が私人として靖国神社参拝したことを機に、天皇参拝が公的か私的か問題になったとして、「天皇の参拝が途絶えたのは、これらが関係していると見るべきだろう」(昨年8月の産経新聞の社説)という考えだ。こうした主張にはもともと無理があったが、今回わかった昭和天皇の発言は議論に決着をつけるものだ。現在の天皇陛下も靖国神社には足を運んでいない。戦没者に哀悼の意を示そうにも、いまの靖国神社ではそれはかなわない。だれもがこぞって戦争の犠牲になった人達を悼むことが出来る場所が必要だろう。それは中国や韓国に言われるまでもなく、日本人自身が答えを出す問題である。そのことを今回の昭和天皇の発言が示している。
'06.7.21.朝日新聞
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