散歩道<1112>
世界の窓・普遍的価値日米から深化を(1) (1)〜(3)続く
「日米両国は・・・・普遍的な価値観を共に推進していく」。これは6月29日に発表された日米共同文書の第1項にある言葉だ。ここで言う普遍的な価値観とは何か。共同文書曰く、自由、人間の尊厳及び人権、民主主義、市場経済、法の支配。一見至極もっともに聞こえる。これらの価値を日米両国が共有していることは多くの人々も認めるだろう。しかし、両国は他国に向かってこれらの価値を「推進する」と胸をはっていえるのだろうか。特に問題な点は、アジアの国々との関係だ。「アジアは、民主主義、自由、人権、市場経済、法の支配といった普遍的な価値観をに一層拠(よ)って立つ地域へと変りつつある」・・・・共同文書はこういっている。本当にそうであろうか。長期的にみると、確かにアジアの民主主義や市場経済は進みつつあるように見える。しかし、韓国の若い世代では北朝鮮より米国の方が圧倒的に脅威と見られており、又中国は利害共有国(ステークホールダ)ではありえても、価値観を共有できる国からは程遠い。加えて、日本の植民地支配に対する反省や戦争責任の問題もアジアとの価値観の共有には避けて通れぬ道だ。
'06.7.19.朝日新聞 国際交流基金理事長・小倉和夫氏
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