散歩道<1113>

                     世界の窓普遍的価値日米から深化を(2)          (1)〜(3)続く

 こういう状況下で日米は共にアジアに対して自由と民主主義と市場経済を推進するという原理だけで立ち向かうというのだろうか。もしそうだとしたら、そのための方法ややり方は同じなのか。このように考えれば考えるほど、アジアにおいて価値の共有を推進していくためには少なくとも二つのことが不可欠のように思われてならない。一つはアジア内部において、すなわち、日中、日韓において、共通の意識がもっと育たねばならない。中国における民主化と人権尊重、韓国における権威主義と狭い民族主義の打破、日本における「過去」の自省と深化が不可欠である。アジアにおいて日本が偽善的な態度をとることは厳に慎まねばなるまい。北朝鮮のミサイル発射に対して日米両国が厳しい対応をするのは当然過ぎるほど当然である。しかしそれは短にミサイル発射が極東の平和と安全を脅かすからだけではない。また、こうした北朝鮮の態度が核拡散問題の国際的取組みに水をさしかねないからという理由を付け加えても、それに尽きるわけではない。「北」のミサイル発射や拉致問題への対応は第2次大戦の反省に基づく日本の平和と民主主義についての信念と、その信念を貫いてゆくための国際的前提に真っ向から反するからこそ、日米両国はこれに厳しい態度をとるのである。

'06.7.19.朝日新聞 国際交流基金理事長・小倉和夫氏

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