散歩道<1111>

                          経済気象台(50)・地方の矜持

 景気回復が地方にも及んできた。日銀が発表した地域経済報告書によればほとんどの地域で景気が拡大・回復している。にもかかわらず地方では、回復感はなお乏しく厳しさを訴える声が引き続き大きい。実際、製造企業の海外移転や閉鎖などのよって浮揚力を失った地域は少なくないし、財政支出の削減によって大きな打撃を受けている地域も多い。又地方の人口減少は以前から始まっており、中心市街地の空洞かも止まらない。さらに、従来の活性化対策の効果が期待ほど大きくなかったケースも散見され、一方で新たな対策を打とうにも財源がない。地方経済の活性化にお金を使うよりも、ヒト、モノ、カネを東京など大都市圏に集めた方が効率的で、日本経済の成長も高まるとの指摘も増えてきた。しかし、地方経済の現状に立つと、地方は明らかに変りつつあると感じる。第一に、自立の意識が強まっている。財政支出を頼みにしている人は減り、自前で成長の原動力を育てるべきだとの意見が増えている。第二に地域の経済資源に、目が向くようになった。それはたといえば、北海道では豊かな食材であり、山形では独特の素材・デザインであり、千葉では身近に触れ会うことが出来る自然である。それらを産業化することにより、地方独自と付加価値がう生まれる。第三に地元に対する誇りが高まっている。地元の歴史遺産を掘り起こす動きが広まっている背景には、そのような変化があり、地域のアイデンティティや一体感を強めている。確かに課題も多い、経済成長や所得という面で地方を引っ張りあげる成長産業を育てるのは、そいう簡単ではない。手間も暇もお金も要る。しかし、地方の独自性や魅力が伝われば、やがてヒト、モノ、カネは集まってくる。結局、地方のい矜持が(きょうじ)地方経済を救うことになる。'06.7.12.朝日新聞