散歩道<1106>

                  経済気象台(49)・GMの再建

 世界最大の自動車メーカー、米ゼネラル・モーターズの大株主の提案を機にその経営をどう債権するかに注目が集まった。GMは05年だけで85億jの赤字を計上した。直接の原因は製品力の低下で、これが主戦場の北米販売を低下させ、生産減少で固定費が支払えない悪循環に陥った。さらに固定費を削減するためのリストラ費用が赤字を膨らませた。製品力の低下は、市場ニーズの変化に対応した魅力的製品を企画・開発し、迅速に市場に提供する製品開発能力の問題でもある。日本自動車メーカ−がバブル崩壊後の後遺症に苦しんでいた90年代後半、米国メーカ−は安い石油と好調な市場を背景に大型のピックアップトラックやオフロード車を拡販し、巨大利益をあげた。だが、その時に獲得した資金は将来の自動車開発に必要な小型化技術や低燃料技術への投資よりも、他の自動車メーカーへの出資に回された。グループ拡大のためだ。ここ数年、北米市場の拡大が止まり、燃料価格が上昇する中、かっては人気があっても燃料の悪いモデルは販売が低下した。拡大グループ企業はGM本体の製品力不足を保管できず、逆に再建資金を補うために04年から続々とグループの持ち株が放出された。問題は長期投資の優先順位である。なぜ、グループ体制の拡大を優先し、将来の市場や事業循環の変化に備える製品本体の戦略技術の獲得や、主力製品の改良、新コンセプト製品の開発への投資が遅れてしまったのか、である。提案は、仏ルノーとその下で再建を果たした日産自動車両社との資本提携だ。だが、今後の行く方にかかわらず、GMの再建に必要なのは、長期投資の優先順位の変更だ。株価や目先の収益にとらわれない、自動車メーカとしての競争力の根幹を担う長期製品開発戦略の再構築こそが求められる。

'06.7.11.朝日新聞