散歩道<1097>
経済気象台(44)・外交の新段階
竹島調査船をめぐる韓国の世論や政府の硬化発言などには考えさせられることがある。国が違えば教育も伝承されてきた文化も違う。軋轢(あつれき)や紛争はいつおきても不思議ではない。だからこそその違いを理解し合い、共通できる利害や目的を分かち合う平素の努力を重ねるのが広い意味の外交の働きだろう。外務省だけで出来るわけでもない。民間と行政そして政治が話し合い、役割を分担し、心を一つにしてそれぞれのレベルで努力してこそ実を結ぶ。中国との関係を改善する課題においても同様である。同時に留意すべきは、日本が経済面で中国に重点をシフトしている間に、中国は米国への接近に特段の力を注ぎ、かなりの強い人脈を政・財界との間で築いてきたことである。その影響は米国務省に知日派がほとんどいなくなり、親中派が増えたことにも現れている。米国にとっ覇権をめざす中国は要警戒の相手であると同時に、経済的にはすでに大きくコミットしたという枠の中で共存を模索している状態にある。ならば日本が中国との関係を改善していくに際しても、米国に依存するだけでなく、もっと知恵を尽くす必要があろう。先月も紹介したように、ライシャワー東アジア研究所の所長ケント・カルダー氏は米外交誌「フォーリン・アフェアーズ」への寄稿で、日本と中国との関係を改善するために、日本は中国の自然環境の汚染や水資源問題に絞ってODAによる支援を続けてはどうか、また日・米・中3カ国という枠組みでエネルギー問題などについて協議の場を作ること、さらにデリケートな歴史認識や安全保障問題については、他のアジアの国やカナダなど中立的な国も入った場で検討することを提案している。「政冷」の行き過ぎは企業にとっても重大関心事である。そうした戦略を政・官・民が協調して支える体制が早急に必要ではないか。