散歩道<1095>

                   経済気象台(43)・リーダーに必要な心得

 「お金とは一定の距離をおいて付き合うのが秘訣(ひけつ)」と、雑談の中で先輩から聞かされたことがある。そのときは何気なく聞いていたが、時がたち決済権限が増大するに伴い、言葉の意味が重みを持って伝わってきた。お金には魔力がある。知らず知らずのうちに、その魔力にひきずられて公私混同したり反社会的行為に走ったりしかねない。若手経営者のチャンピオンとみられていたホリエモンや村上前代表もまた、その魔力に負けてしまった。資本の論理は当然の原則。ただ、それは個人の倫理や企業の社会的責任にうらずけられて始めて成り立つことである。第2に大事なこと。従来と異なる.あるいは革新的な事業をやろうとすれば、ついつい専門家に頼ろうとする。ところが、狙い通りのことが出来ないことをしばしば経験する。まず自分で事業の目的、内容などプランニングの枠組みをしっかり考え、そのうえで専門家の知恵を借りることが重要である。革新にチャレンジするのは自分自身である。専門家の活用を誤らないようにするのが経験から得た鉄則だ。第3の心得。ビッグプロジェクトを展開する時には必ずといっていいほど反対がある。反対者の中にはそれなりの意見を持った人が多い。それらの意見の内参考になるものは吸収するように務め、説得するより、1人ずつ味方を増やしていくというのが得策である。そのうち軌道に乗ってくると、誰もがおのずと参加したがる。そうなると、そのプロジェクトは90%成功したようなものである。今日、新たな日本的経営のあり方を模索している時代である。それに伴い、働き方も揺らいでいる。こうした時代だからこそ、リーダ−はもちろん、サラリーマンにとっても、働き方の知恵、原則を明確に持つことが大切である。そうでないと、働く方向を見失いかねない。

'06.6.30.朝日新聞