散歩道<1074>
時流自論・次代担う企業リーダーとは(3) (1)〜(3)続く
では次世代の企業リーダ-とはどのような人材であるべきなのだろうか。指導力や分析力、判断力といった能力を備えることは当然として、私は以下の点が必要だと考える。まず、技術や人材に対する深い洞察力を持つ必要がある。具体的には、次世代技術への知識や関心をもち、研究開発の方向付けが出来る人材でなければならない。文化力や職人の技能継承に関心を払う必要もある。加えて、人材育成に関心を持ち、社員教育だけでなく、教育機関への投資など社外の人材育成にも目を向けるべきだろう。一方、個人の素養と言う面では、教養を高め、伝統文化やアート、各国の歴史を理解しなければならない。こうした教養に基づき、芸術などに金銭などを投じる「文化的消費」ともいうべき消費の哲学を持つ必要もある。欧米社会では当然の事とされる社会貢献や外交に対する意識も高めるべきだ。こうしたリーダ-を育てるには、従来の企業内の育成システムだけでは不十分だ。大学を含む教育機関や、社外にも開かれた企業の育成プログラムを数多く立ち上げるべきだ。私はリーダーを育成する一つの試みとして、この4月に日産科学振興団のサポートで新しいプログラムを立ち上げ、ディレクターとしてかかわっている。プログラムは7月スタートで、現在は参加者20人の選考を進めている。内容は、「サスティナビリティー」(持続可能な社会)&ヒューマニティー(人間性の重視)という新時代の価値基準に沿い、環境や交通問題、大量消費からの転換など未解決のテーマーに沿った課題を自ら設定し、5人のグループワークによって9ヶ月間かけて新事業立ち上げのための提案書を纏める。ゴーンー*1さんや産業技術総合研究所の吉川弘之*2理事長、米国・マサチュウセッツ工科大学のリチャード・レスター教授も参加する。受講者には彼等と対話を通じ、ものごとを中長期的に見通す力や、知識を活用して構想を練る力、企業リーダーとして身につけるべき素養など学んでもらいたいと考えている。多くのリーダ-が育つようになれば、日本は今後もグローバル社会での戦いに勝ち残り、明るい将来像を描くことが出来る。
'06.6.19.朝日新聞 京都大学工学研究科特命教授・竹内 佐和子さま
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備考:'08.4.29.吉川弘之様が瑞宝大授章を受けられることが決った。おめでとうございます。