散歩道<1071>

                     経済気象台(37)・輸出が鍵握る世界生産 

06年の世界の自動車生産は、約6700万台と過去最高を更新した。国別では1千万台の米国と日本が断トツで、ドイツと中国が500万台超で続く。あとは韓国とランス300万台超、スペイン、カナダ、ブラジルが200万台、イギリス、メキシコ、インド、ロシア、タイ、イタリアが100万台強という状況だ。この年の世界生産は前年の5%より減速したとはいえ、3%拡大した。生産全体ではパイがふくらむ一方で、目立ったのは、主要生産国で、好不調の差が広がったことだ。好調だったのは中南米4カ国、中東欧5カ国とアジア7カ国。そしてアジアでは韓国・中国・インド及びASEANの主要3カ国が平均以上伸びをみせた。注目されるのは、こうした新興国の多くが、自国市場の成長という追い風だけでなく。近隣先進国市場や周辺国向け輸出を背景に生産を拡大している点である。メキシコは北米向け、チェコ、ハンガリー、ルーマニア、西欧向け、タイ、インドネシアは、アジア・中東向け輸出拡大が貢献した。さらに、世界の主要自動車メーカ−が、こうした新興国を低コストで世界レベルの品質を持った製品の生産・輸出拠点として戦略的に活用している点も大きい。特定モデルの生産を新興国に集約し、新興国を該当モデルの世界唯一の生産生輸出拠点として育成・活用するメーカーが増えている。先進国では、輸出が好調だった日本とドイツが生産を3%前後伸ばしたが、米国とカナダは前年並み。フランス、スペイン、英国、イタリアは前年実績を割り込んだ。先進国のこうした状態は、自国のマザー市場が成熟していることに加え、輸出生産が新興国にシフトしていることの影響でもある。06年も、輸出が生産の好不調を分けるという傾向がつづきそうだ。

'06.5.11   朝日新聞

                           
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