散歩道<1072>

                    時流自論・次代担う企業リーダーとは(1)             (1)〜(3)続く

 日本日経連会長キャノンの御手洗富士夫さんが就任した。旧経団連会長で新日鉄出身の今井敬さん、トヨタ会長の奥田・前会長の後を受けての登場は、「重厚長大」から自動車、ハイテク産業へという産業構造の変遷を象徴している。財界トップの交替をきっかけに、これからの日本に求められる企業経営のリーダーの姿を考えてみたい。日本企業では、従来、企業文化を体得した調整型のリーダ−が好まれ、強い指導力を発揮し、信念に基づいて改革を推し進めるタイプは少なかった。長く低迷した日産自動車の社長兼最高経営者として、再建を託されたカルロス・ゴーン
*1さんが衆目を集めたのは、経営手腕もさることながら、日本には少ない「物を言う経営リーダー」であったことが大きい。国内市場の安定的な成長が見込め、既存の価値観のもとで、製品のコストダウンやスペックの小さな差別化を競えばよかった時代には、調整型の経営者でもさほど問題は生じなかった。情報を共有し、企業への帰属意識を維持する面では、むしろ好ましい姿でもあっただろう。

'06.6.19.朝日新聞 京都大学工学研究科特命教授・竹内 佐和子さま

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