散歩道<1067>

                    経済気象台(33)・世界の中での成長が条件

好調な日本経済の主な原動力は輸出と海外からの利益回収にあると見ている。輸出は、中国など東アジアの電子部品、材料、設備機械、鉄鋼、化学製品などの旺盛な需要と米国などでの自動車需要の増大によって、この4年間に円ベースで毎年度9%の程度の増加となり、これに海外利益の増加があいまって、企業業績を好転させ、設備投資を牽引し、雇用と所得を増加させ、個人消費を回復に導いている。少子高齢化が進む日本経済にあって、持続的成長を実現し、雇用と所得を確保していくためには、海外市場を開拓し、生産・販売ネットワークを張り巡らせ、世界的な最適地生産・販売体制を確立することが至上命令である。実際にこういった流れが随所に現れてきた。自動車生産は今年度には海外が国内を上回ると言われ、世界的な生産体制が整いつつある。最近の薄型TVなども半分が海外生産である。その他、建設機械では輸出比率が60%以上に達し、工作機械でも半分以上が海外向けである。さらに、日本企業による世界的な原子炉メーカーの買収や海外メーカーとの燃料電池や次世代半導体の共同開発、液晶パネルの共同生産などグロバル市場で生き残りをかけた合従連合が進んでいる。いまや世界の中で成長していくことが企業の存続条件となっており、この流れを止めないためには@企業内での継続的なイノーベーションを確保するA優れたグロバル経営戦略を確立するB高度に機能化された企業組織を運営・発展できる人材を継続的に育成していくことである。これが日本の生きる道であることを考えれば日本における教育のあり方、イノーベーションの起こし方、世界との付き合い方が見えてくるはずだが、当事者の将来に対するビジョンがしっかりしていないために、真の構造改革が進んでいないのが現実である。 

'06.5.30.朝日新聞