散歩道<1012>
靖国米国はどう見てますか(2) (1)〜(3)続く
日本の立場弱めている・挑発避け、配慮が重要・日米同盟の深化は評価
・・・・靖国参拝は、中国に屈するなという文脈で語られています。「靖国参拝が、日本の中国に対する強い姿勢を象徴するようになったのは、非常に不幸なことだと思う。いま、東アジアは戦略的な過度期にある。日本は国から大きな挑戦を受けている。東アジアにおける領土や資源をめぐる地勢的な挑戦です。本来は歴史とは別の問題なのに、日本が靖国問題で中国を刺激したので両者が結びついた側面があります。
・・・そのことが、日本外交にとってはどんな意味を持ちますか。「日本にとっては不利な状況になっています。日中の競争は、日本がもっと道徳的な高みに立てる分野でやるべきだ。国際世論の戦いで日本が負ける可能性のある問題をわざわざ持ち出すことはない。日本には、核不拡散や環境問題への取り組み、政府の途上国援助など、誇るべき戦後の資産がある。中国に対しても、日米が協力して中国のエネルギー効率を高めるということをすべきでしょう」「ところが、歴史問題はこうした戦後に日本が築づきあげてきた肯定的なイメージを損なっている。国連安全保障理事会の常任理事国入り問題も、日本の扱いはフエアでないと思う。日本は責任ある地位を与えられるべきです。だが、歴史問題を抱える限り現実にはむつかしくなるのではないでしょうか」。・・・・米国人の目に歴史問題はどう写りますか。「現実のところ積極的な反発を呼ぶようなことはありませんが、日本のイメージ を傷つけたり、信頼性を低下させたりする可能性があります。90年代の終わりから日米安保の協力関係が進み、特に同時多発テロ以降は、日本のインド洋への護衛艦隊派遣等が高く評価され、米国では日本は本当の同盟国になろうという見方が出ています。私も、小泉政権の下での日米同盟の深化を高く評価しています。ところが、そこにこの靖国神社の問題が出てくると、米国民の間に、日本は理解できない国だという印象を生む。
・・・理解できないとは。「靖国神社の歴史解釈は第2次世界大戦における日本の立場を正当化し、美化しているものではないでしょうか。米国内でこれがはっきりとした問題になれば、かって日本と戦った米国人には、この歴史観は受け入れにくい。異なった歴史解釈の上に、安定した同盟関係を築くのはむつかしいでしょう。この問題が顕在化して、多くの米国人が靖国神社を知るようになると、日米関係の障害とないかねません。
'06.5.5.朝日新聞・ジョンズ・ホプキンズ大ライシャワー東アジア研究所長ケント・カルダー氏に聞く
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