散歩道<1009>

                           歴史と向き合う 東京裁判とは何だったのか。(2)             (1)〜(3)続く
                     被告選定などに問題・裁かれなかった連合軍・日本の責任追及は必要

・・・・東京裁判にはどんな欠点があったのですか。「例えば、被告の選定に問題がありました。原爆投下を含め連合側の行為は裁かれませんでした。天皇は起訴されず、証人にも呼ばれなかった。判事は戦勝国だけで構成されていた。彼等がどうやって結論に至ったかも不明確です。インドのパルやオランダのレーリングのような優れた判事もいましたが、米国が派遣した法律家は2流や3流の人たちでした」「また侵略戦争を理由に訴追することは不可能だと思います。誰が何を「侵略」と定義するかというのが問題になるからです。 定義するのは、常に勝者ということになる。あの裁判はプロパガンダの色が濃く、法律的にきわめて疑わしいものでした。
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・歴史は裁けない、あるいは歴史は裁判の対照にはふさわしくない、ということでしょうか「法律上の罪と歴史上の罪とは違うものです。検事も弁護士も、歴史の真実を求めているわけではない。有罪か無罪かを争っている。歴史家と裁判官の違いは、歴史家は後の時代の仕事をし、裁判官のように自らの結論によって被告を死刑に処することは出来ないということです」
・・・・しかし、あの当時に東京裁判以外にどんな選択技がありえたでしょうか。
日本人自ら戦犯を裁くことは可能だったでっしょうか。「どうでしょうか。選択技としては、全く裁判を行なわない。判決に死刑の含まれない裁判を行なう。あるいは、新しく設けられた『平和に対する罪』『人道に対する罪』ではなく、通例の戦争犯罪に絞る。三番目の選択技が、もっとも支持しやすいかもしれません」・・・・侵略戦争そのものは裁けないが個個の残虐行為は裁けるという立場ですね。「日本人の間にも、東条元首相や軍部に対する批判は強かった。もし日本人の手でさばいていたら日本にとっても米国にとってもより健全なことだったでしょう。米国は東京裁判をやったことで、自分達だけが正しいと思い込んだ。それは非常に危険な考え方で、ベトナム戦争でも、そしてイラク戦争でも、その独善性が災いしたのだと思う」。

'06.5.3.朝日新聞・リチャード・マイニア教授(米マサチューセッツ州立大)に聞く