散歩道<988>

                         経済気象台(31)広げる世代

 団塊世代は「広げる世代」である。2年おきに生活者の意識や実態を尋ねている民間研究所の調査データから、2007年問題など、何かと話題の多い60代寸前の団塊世代の特徴を探った。8年前に同じ年齢だった人たちのデータと比較すると、生活の幅が広いと応える人が多いことがわかった。生活の中でいろいろなことを体験し、挑戦したい人である。彼らは、今後、ペットを飼い、資格をとり、株・債権などに投資をしたい、と考えている。一方、団塊世代の女性たちの幅の広さは、食生活に強く表れる。彼女達は、色々なものを食べ、外食にお金をかけ、お酒も楽しむ。団塊世代は物心つく頃から青春期にかけて、ジーンズやロックなど、欧米から新しい文化の洗礼を次々に受けた。その結果、新しいものに抵抗感がなく、むしろ、前向きに自分の生活に取り入れる体質になった、と考えられる。また、その体験から、生活を楽しむスピリットを身につける。だから、8年上の世代に比べて、自分の趣味の道具やファッションにお金をかけ、友人や家族などへのプレゼントにごく自然にお金をかける。団塊世代とは、このように外に拡大・拡散するいくつかの強いベクトルを持った「広げる世代」である、ととらえることができる。一方、戦後本格化した民主主義教育を受けた世代である団塊世代は、「女性は、子供ができても、仕事は続けるべきだ」と応える男性が多いなど、「個人が望む生き方が、全てに優先されるべきだ」と考える「自分軸の人」でもある。彼等の個人主義は、リタイヤした瞬間、再び開放され、より自分らしく生きようと求める。そして「自分軸」の団塊世代は、家族や子供のためよりも、むしろ、自分のためにお金や時間を使っていくだろう、と予想される。

'06.4.4.朝日新聞