散歩道<976>
視点・中高年の旅行・日本の魅力学び探して
団塊の世代がまもなく定年を迎える。行動的な新シニアを狙って旅行業界が活気づくなか、大阪のエルダーホステル協会名誉会長、豊後レイコさんが薦める「もう一つの旅」とは「旅と学びと出会い」をモットーに、中高年のかたに現地集合・解散の講座を提供するエルダーホステル協会(発足時はエルダー国際交流協会)を始めて20年になります。当時は定年は暗いイメージでしたが、今の60代は若いですね。好みがはっきりしていて、自分で遊ぶ方法を知っているし、海外旅行を経験した人も多い。そこで提案が2つあります。一つめは「学ぶ旅」の視点を持つこと、我々の世代は戦争のせいで勉強もしたくても出来なかった。学びに飢え、とくに英語には思い入れが強い。今の人は「勉強はもうええわ」となっていませんか。学校、会社での強制された学びではなく、自発的に学び、いろんな人にあって刺激を受けることは最後まで大切です。職縁、地縁、血縁に加えて、学びの縁を加えて欲しいと思います。私たちがお手本にしたアメリカのエルダーホステル協会は「高齢者こそ社会の改革者」「定年退職者は新しい人生の出発点」とうたっています。高齢者が輝く大人の文化を社会で実現するには、学習が欠かせません。前のことですが、アメリカ人約70人が2週間ほど、日本を訪れ、現代日本をテーマに大学教授らの講義を受け、伝統文化体験や家庭訪問などをしました。最後にホステラーから「日米間の経済摩擦は米国にも原因あることを理解した。議員に手紙を書く」という声を聞き、見学と学びを組み合わせた成果だと思いました。もう一つ、これから旅を楽しもうという世代に、新しい「日本の魅力」を発掘してほしいのです。アメリカで人気が高い旅行先はイタリア、イギリス、カナダ、フランスなどで、東洋では中国に人気があります。どの国も豊かな文化歴史、自然にめぐまれて「観光力」がある。では日本の観光力ははなんでしょうか。山紫水明、やさしい人々、古い歴史などと言われていますが、最近はどこも似たような風景で日本らしさやユニークな土地柄が失われてつつあります。古い町屋や農家の外観はそのままに中は住みやすく改造して、町ぐるみで町並み保存を考えてもらいたいですね。アイデアとしては、農村で雑草抜きや庭造りを手伝ったり、空家を再生させたり、上手に仕掛ければ楽しい体験になるでしょう。温泉にしても入るだけでなく、歴史や医学などを専門家に学べばさらに印象深く、充実感が味わえます。最後に、平和でなくては旅は出来ません。9・11以降、旅行が落ち込みましたが、学んで知ってわかりあうことが平和につながると思います。
'06.3.7.朝日新聞・大阪のエルダーホステル協会名誉会長、豊後レイコさん