散歩道<6484>      833b

                     新春対談・五木寛之氏・大谷光真氏(3)                (1)~(4)へ続く
                           自然との調和回復を  

 大谷宗教が縁*1遠くなったのは明治からの気がします。徳川時代には宗教的な生活をしていたのに、明治維新からは欧米の科学技術と経済、軍事ばかりに走り、だんだん崩れ、戦後いっそうひどくなった徳川時代の差別問題、身分社会問題は弁解の余地はありませんが、自然と調和した暮らしや、それぞれの藩が官僚機構を整えた地方分権などは、もっと見直してもいいかなと思うのですが。欧米の環境思想にはこれ以上海を汚し、森を切ると、一番偉い人間の暮らしが危うくなるからもっと自然を大事に利用しようという、どこか植民地的な考えを感じます。そうではなく「山川草木悉有仏性(さんせんそうもくしつうぶっしょう)といいますか、山にも木にも命がある。そんな日本の仏教の根にある自然への共生意識を大切にする必要があるのでしょね。
 大谷:神道も佛教も自然を大事にする立場と思いますが、余り生かされていない昔は鎮守の森があちこちにあり、自然が残っていた。明治政府が神仏分離令で廃仏毀釈が起きたが、弾圧されたのは寺だけでなく、神社も強制的に統廃合され、鎮守の森が開かれた。大反対したのは南方熊楠*3です。兎に角地域に根ざした寺とか、神社が一掃され、宗教的な雰囲気が壊されたのだ。しかし北陸の旧家には今も、びっくりするような仏壇があり、仏間という部屋も残っています。そういえば「仏間」という部屋が日本語から消えかかろうとしているのかもしれませんね。その仏間を外国人に見せますと驚きます、「我々には教会があるが、日本の古い家には一軒一軒教会のようなものがある」日本の仏教は個人の自覚した宗教ではなく家の宗教だと、卑しめる人がいます。確かに煩悶(はんもん)して宗教に活路を見出すのは立派なことです、でも家庭の雰囲気の中で、気がついたら自然に宗教心が身についていたというのも、決して低い次元のものではないと思いますが。
'06.1.1.朝日新聞  対談:浄土真宗本願寺派第24代門主・西本願寺住職。大谷光真氏、作家・五木寛之氏 

散歩道<344>面白い本・生きる言葉(1)~(3)、<444>五木寛之様・京都、佛教、国際貢献及諸教混合(1)~(2) 、<1803>人を恨み、仕返しをしてはいけない。(1)~(3)、<367>*1<473>*1<検>*3氏名