散歩道<6482> 831b
新春対談・五木寛之氏・大谷光真氏(1) (1)~(4)へ続く
嘆く心取り戻そう
五木:佛教を俗な知識で簡単に扱うと間違いが多いです。
大谷:危険でもあります。
五木:このところ子供の犯罪が続き、先生方は「見知らぬ人にも笑顔で」でなく「人を信用してはいけない」と教えなくては成らないと悔やみ、指導のガイドやマニューアルを求めているようです。人を信じる信じないという問題は、それこそ宗教が真正面から向き合うべきテーマで、ノウハウでは解決しないと思う。その一方で幼い子供の命を守り。身を守るすべを教えなくてはいけない事態をどう考えたらいいのでしょう。
大谷:佛教の教えは笑顔で対応するのが基本です。悪いことをする人より、いいことをする人が圧倒的に多いわけですから、人を信用してはいけないと教える今の教育は悲しいことですね。
五木:親鸞聖人の和賛(わさん)に「如来の遺弟悲泣(ゆいていひりゅう)せよ」とありますが、「なんと悲しいことだ」と嘆く心を取り戻すことから、まず回復していくべきでしょうね。
大谷:自分の弱さを隠さざるを得ないような世の中だ、人と人とが対立しています。失敗しても自分の非を認めず、相手を攻撃することが目立ちます。弱い自分の隠すとすることから攻撃的になるのではないか。弱い心を素直に受け止めることは不安ではあるが、それでいいんだよといってくれる支えが大事です。佛教だけに限りませんがなにか現世を超えた宗教的な支えが大事だと思います。
五木:宗教という言葉で言っていいかわかりませんが、何か見えないもの、大きなものへの畏敬の気持ちがあった上で、自分の愚かさや悪を自覚出来るのでは。心のしなやかさといいますか、しなやかな枝には弾力があって、重い雪でも屈しながら折れずに春を待つ。しならない枝は太くてもポキンと折れるでしょう。年間3万人強という人が自殺で大問題になっていますが弱い心が折れたのではなく、硬い心、曲がることや屈することを知らない心が折れたと思うことがあります。
'06.1.1.朝日新聞 浄土真宗本願寺派第24代門主・西本願寺住職。大谷光真(こうしん)氏、作家・五木寛之氏
備考:'14.6.6朝日新聞 浄土真宗本願寺派第24代門主・西本願寺住職・大谷光真氏が引退し、25代の光淳(こうじゅん)新門主が誕生する。、
散歩道<344>面白い本・生きる言葉(1)~(3)、<444>五木寛之様・京都、佛教、国際貢献及諸教混合(1)~(2) 、<1803>人を恨み、仕返しをしてはいけない。(1)~(3)