散歩道<6568>
科学季評・科学技術発展のリスク(1) ・AI社会 新たな世界観を
最近のあらゆる未来志向型プロジェクトで、人口知能(AI)は欠かせない要素だ。AIを用いたスマート漁業、複雑なデーター解析を一瞬こなす医療診断、人口縮小社会の効率的な情報システムの構築など、枚挙にいとまない。はたしてAIは人間に明るい未来を約束してくれるだろうか。
AI社会とは、情報によって人間が地球規模で繋がる仕組みだ。人々はすでに情報なしで暮らせない社会に生きているが、今後あらゆる行為を選ぶうえでAIの判断が欠かせなくなる。言葉を持った人間が、身体ではなく脳で繋がろうとした当然の帰結だと私は思う。
人類が700万年にわたる進化の過程で手に入れたもっとも大きな力は、相手の気持ちに立って物事を推し量れる共感力だ。人類の祖先が200万年前に脳を大きくし始めたのは、手段の規模が拡大し、より多くの人と密接に協力関係を結ぶようになってからだ。ゴリラの3倍の大きさを誇るホモ・サピエンスの脳でも、共感し合いながら暮らせる集団の規模は150人程度だ。それが、約7万年前に言葉による認知革命が起こり、さらに1万2千年前に始まった農耕によって、より多くの人々が一緒に暮らすことが可能になった。
<検>科学、<検>IT
18.8.8朝日新聞・京大総長 山極寿一氏
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