散歩道<6128>
                               日曜に想う(1)・もっと複雑な自我を

 夜の都会の居酒屋。2人の若い男が話込んでいる。スーツ姿とカジュアルな私服姿。
 話題は2001年に米国であった9・11同時多発テロについてだ。もっぱらスーツ姿のが熱弁をふるい、私服姿を啓発しようとしている。こんなふうに
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 「ニューヨークの世界貿易センタービルなどを標的にしたテロは、本当は米国自身が仕組んだんだ。今やほかの国は誰でもが常識として知っている。知らないのは日本人だけだ」
 中央官庁やIT企業での職歴もあるライター・編集者のMさん(32)が最近、実際に目のあたりにした場面だ。
 「『国内のマスメディアは真実を隠しているが、自分は知っている』ということなのでしょう。メルマガなどで流れていることを信じたのかもしれない」
 こんな光景から何を読み取るべきか。
 「(ネットで情報を発信する)プラットフォーム側がウソを排除する対応を考えていて、それは大事なことだけど、地方で情報を受け取る側もウソとホントを見極める力を培う必要がある」。そうやって自分達の社会についてのまっとうな自己認識、自我像につなげる。
 9・11のような事件に限らない。経済や情報が国境を越える時代、簡単には理解できない問題が」次々に起きている。経済危機、環境問題、移民、難民
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 「社会の複雑さに耐え兼ねて、ものごとうを単純化してとらえたくなる因果関係をはっきりさせたくなる。でも単純化しても解決になりません」。現実の複雑さをそのまま受け入れなければ。「大きな挑戦だけれども」   
<検>文化、<検>教養、<検>戦争、

'17.12.31.朝日新聞・編集委員・大野博人氏

                           
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