散歩道<6122 >
                        文化・文芸 維新150年 苅部直・東大教授に聞く(3)
                               自由平等こそ「明治の精神」

「和魂洋才」 実態と違う面も

 政府が今「明治の精神」や「日本の強み」を掲げる背景に何があるのか。
グローバル化が加速し、頼みだった経済力で中国に抜かれる中、保守はの中に「日本の精神の軸が失われてしまう」との危機感があると苅部さんは語る。何を指すかが不明確な「明治の精神」という言葉でひそかに目指しているのはナショナリズムの高揚だろう、とも。
 他方、政府自身が「明治の精神」として挙げるポイントは、機会の平等、チャレンジ精神、和魂洋才だ。一般に和魂洋才とは、思想や道徳を含めた相対としてではなく、技術的な面に限って西洋文明を受容しようとする精神態度だとされる。

「技術は取り入れたがモラルの根本は失われなかったと言いたいのでしょう。しかし、実際には人々は、西洋の才だけでなく魂にも価値を見出していた。和魂洋才という言葉は、その事実を見えにくくさせてしまう。
 誰もが生まれや育ちに関係なく仕事を選べ、努力すれば社会的地位を上昇させられる社会に近ずくおと。それは人類普通の願いだ、と刈部さんは言う。
 維新期の人々は、国境で仕切られた文化の違いを超えて共有される、人類の普遍的な価値を追求した。グローバル化の現代に教訓とすべきは、そうした精神の働きなのでは」
 
<検>政治 <検>教養、