散歩道<5880>

                                   日曜日に想う・日本が温存する「切り札」(3)

 
だが、国家運営を担う政治家たちが「ふつうの国」に戻そうとしているように見えない。
 「地方創生や1億総活躍を行っても加速度的に人口が減る中では意味がない」と話すのは、日本国際交流センター執行理事の毛受
(めんじゅ)敏浩さん。近著「限界国家」で、積極的な移民受け入れ政策にかじを切るべきだと主張している。「同じように考える政治家は多いはず。カミングアウトしてほしい」ともどかしそうだ。
 どんな人をどれくらい、どうやって受け入れるかを決めるのが移民政策。だが、門戸を開くとあやしげな外国人がどっと入ってきて社会に混乱をもたらすといったイメージをつきまとう。だから政治家は手を付けるのをさけ続けた。
 もう10年以上前に、毛受さんは欧州で移民政策の専門家から「日本はダチョウのようだ」と言われた。迫りくる人口動態の危機を、砂の中に頭を埋めて、ただ見えないようにっしている。「閉鎖的な国が最後にどうなるか、それを示す反面教師みたいに海外から見られています」
 今から人口減を止めるのは殆ど不可能だ。しかし、すさまじい高齢化を少しでも緩和する為と思えば若い移民の受け入れには意味がある。
 実は日本に定住する外国人、つまり移民はすでにかなりの数に上がる。技能実習生などといった別の名まえで呼ばれている。これからも増えそうだ。しかし、「正門を閉ざして裏から入れ続ける方がづっとよくない。移民政策がないと移民問題が起きるのです」
 毛受さんは、移民政策は日本の「切り札」と見る。ほかの国と違い、温存していた切り札。例えば新しい元号とともにこれを切れば、国民の意識も世界の見る目も変わり、閉塞感も打開できる・・・・。
 そのためにも、まず老いた自画像と真正面から向き合わなければならない。
  '17.7.16  .朝日新聞       <検>世相、 <検>企業                   

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