散歩道<5845>

                         経済気象台(807)・機械に食われる酪農

 北海道では、酪農の機械化と規模拡大が進む。根底には、酪農家の数が減り、機械に頼るしかないとの認識がある。経営の平均像を2015年度の統計で見ると、専従者2.4人で70.9頭を搾乳する農家は、粗利益が7592万円、経営費は5979万円、農業所得は1613万だ。労働時間は8078時間なので、時間当たりの農業所得、すなわち時給は1,997円だ。ここから、機械や設備投資にかかる減価償却の1170万円が引かれる。
 一方、機械に頼らず、1・2人で28頭を搾乳する知り合いの農家では、祖収益は2775万円、経営費は1035万円、農業所得は1740万円、、労働時間は3489時間、時給は4987円だ。新たな投資はしないから、原価償却はほとんどない。
 この違いはどこから来るのか。古典派経済学には、労働価値説という考えがある。労働力という「商品」は、賃金以上の価値を生み出す特殊な商品であり、そこにすべての価値の源泉があるとみた。その源泉は突き詰めると、人と自然との共同作業にある。
 しかし、規模を拡大して機械がバリバリ働く農家では、機械との共同作用で生み出された収益の多くが、原価償却として機械に、「食われて」いる。
 酪農とは本来、その土地で、牛と人が一生懸命に働き、共同で価値を生み出す産業である。土地と牛が本来持つ力を発揮できるよう、条件を整える為に人間がしっかりと観察することが重要なのに、近くで見極められる規模感を失ってはいないか。規模は小さくても低コストで酪農経営出来る方向に、関係機関が本気でかじをきらねば、日本の酪農は風前のともしびとなる。 
'17.02.08..朝日新聞     <検>政治

備考酪農・農業の就業者がどんどん減少する中将来については、国を挙げての早期に長期対策の実施に取り組まなくてはいけないとおもう。

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