散歩道<5843>

                         経済気象台(805)・「政策の前提」への疑義

 消費増税が斎ぢお延期された。先送りにいては賛否両論がある。世界経済の先行き、財政・社会保障制度の持続などの見解の違いもあるが、より大きな違いは日本経済の潜在力に対する評価ではないか。
 円安は拡大しなかった輸出。シャープや東芝など電気産業の苦境。企業の修身雇用制・愛社精神も揺らぐ。自分が働いている会社を信頼していると答えた人は4割で、主要28か国の中で最低との調査結果もある。経済・社会保障の将来を楽観しない日本人。
 グローバル経済も大きく変わる。米国の調査会社の最近のリポートは指摘する。新たな多国籍企業が新興国からも続々と生まれ、先進国は新興国との新たな競争にさらされる。成長と生産性向上を導く情報技術は、同時に既存の産業を破壊し利益を奪っていく。これらが先進国の投資収益の低下につながる。金融・財政政策は構造改革のための時間稼ぎで、民間に投資に火がつくまでの<つなぎ>だ。その間に成長制約を打破し、低迷する潜在成長率の上昇と日本経済の復活を目指す。GDP(国内総生産)600兆円に向けて、ビッグデータ・人工知能などの技術革新・有望成長市場への投資が期待される。
 しかし、この一連の政策シナリオ、その前提に疑義がある。日本の産業競争力の予想を上回る定家・組織劣化などが疑われるのだ。<つなぎ>で需要を先食いしている間に、地力が発揮され、成長制約が打破される、と考えるのは楽観的にすぎるのかもしれない。
 相互に依存する様々な制度・組織の改造を将来に向けどう成し遂げるか。人々を楽観的にできるか。この容易ならざる課題を直視するしかない。
16.6.07.朝日新聞   <検>政治

備考:喜んだり、嘆いたり、反省したり、一時(ひととき)の判断を楽しむのが株の楽しみと思います。

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