散歩道<4422>
耕論・オピニオン・司法改革 その先は
街に出て、自ら手伸ばせ(2) (1)〜(2)続く
こうした「自覚のないニーズ」は事務所で待っているだけでは絶対に見えません。しかし弁護士は、困った人が自ら事務所を訪ねてくると思っている。私は出来るだけ外に出て、自治体の担当者や福祉関係者と接点を持つようにしました。勉強会と称して飲み会もやりました。そんな付け合いの中から「実はこんな人がいて・・」と相談が始まる。最初はどこに問題があるかもわからないのですが、調べていくと多重債務や虐待といった問題が隠れている。受け身でなく、自ら手を伸ばすという意味の「アウトリーチ」という発想が必要です。
活動を続けるうちに気付いたのは、弁護士は世の中を見渡せていないな、ということです。注目されそうな事件や人権問題だけでなく、地域で声をあげられないまま途方に暮れている人たちに私たちは目を向けることが出来ていたでしょうか。
関係を深めた福祉関係者から「弁護士さんにこんな気軽に話を聞いて貰えるとは思わなかった」と言われたことがあります。せっかく法律相談に行っても冷たくあしらわれたり、事務所に電話してもかけ直してこなかったり・・・・。「上からの目線で」偉ぶる弁護士も残念ながらいるようです。
岐阜から戻り、今は東京で活動しています。3万人を超す弁護士の半分近くが集中している東京でも、支援が必要な高齢者や障害者の事例が次々と持ち込まれてきます。「司法過疎」は地方だけの問題ではない。弁護士がやるべき仕事はまだまだそこら中に埋もれているのです。
'11.6.14.朝日新聞 弁護士 太田 晃弘さん
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