散歩道<4403>        

                    経済気象台(665)・自然エネルギーに向けて

 東大日本大震災に伴う原発事故を契機に「エネルギー基本計画」の見直しを首相が発表した。現計画は原子力を期間電源とし、その比率を50%程度まで拡大するとしている。個人的には原子力発電の廃止や大幅縮小は現実的でないと考えるが、数値見直しは不可避であろう。
 政府は風力や太陽光などの自然エネルー活用をさらに推進するとしているが、2020年に10%以上との目標は欧州25%や米国20%はおろか中国15%より低い。せめて20%以上への拡大が必要であろう。
 自然エネルギー活用拡大には大きく二つの課題がある。ひとつはコストの問題。これは量産化効果で大幅な低下が期待できる。
 もう一点は自然エネルーによる発電が非常に不安定なことだ。例えば太陽光発電は晴天時でも雲がかかっただけで瞬間的に発電量は半分以下に落ちるといわれている。こうした電源を電力網に接続した場合、周波数や電圧が極めて不安定になってしまう。
 現在の1%程度の構成比なら問題はないが、比率が20%ともなると影響は無視できない。世界最大の太陽光発電導入国ドイツでは既にそうした問題が起き始めているという。
 問題解決のキーとなるのが蓄電池の活用だ。風力や太陽光で発電した電力をいったん蓄電池にため、そこから家庭や企業、電力網に流すことで不安定さを解消できる。家庭や学校、公共施設に太陽光発電と蓄電池がセットで設置されれば災害に強い街づくりにもつながる。
 震災をバネに日本が世界を主導する環境先進国、災害に強い国に生まれ変わるためにも、政府には大きな視点に立った大胆な施策の検討と早急な取り組みを期待したい。

'11.5.21.朝日新聞 

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