散歩道<4332>
    
                     私の視点・ビンラディン後の中東(サウジアラビアから)                      (1)〜(3)続く
                          
「日本ブーム」対話深める好機(3)                      

 アブドラ国王は、過激派の狂信的な活動が生み出した「不寛容なイスラム」のイメージからの脱却を目指し、宗教間の対話に積極的な姿勢を打ち出してきた。こうした動きの中で国王が日本への関心を深めていたことはあまり知られていない。2008年3月、リアドを訪れた板垣雄三・東大名誉教授ら「文明間対話」の有識者グループを前に、ユダヤ、キリスト、イスラムの3大一神教の対話構想を初めて発表。8ヵ月後には、ニューヨークの国連本部で対話を実現させた。
 イスラムの伝統を守りながら、経済発展を目指すサウジや中東諸国にとって、イスラム世界との歴史的軋轢
(あつれき)がなく、伝統文化を維持しながら先進国になった日本は格好のモデルケースなのだ。
 そんなサウジ側の思いや期待は、必ずしも等身大で日本側に伝わっていない。ビンラディン容疑者の死を受けて、異教徒、異文化に対する「寛容」の精神をどう深めていくべきか。そのとき、日本に果たせる役割は何か。中東イスラム世界に対して独自の「文明間外交」の構想力を築くことは資源外交、経済外交をすすめる上でも役立つはずだ。

'11.5.9.朝日新聞 中東アフリカ総局長・*1石合 力氏

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