散歩道<4273>  
        
                             ザ・コラム・3・11の衝撃(2)                           (1)〜(3)続く
                                     
9・11しのぐ文明への影響

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 「技術が高度に発達した日本でもこのような事態が起きたことは全人類への警鐘である」と中国の「環球時報」が報じたように、原発の安全神話が崩壊したのだが、ことの深刻さはそれにとどまらない。地球温暖化の原因であるCO
2の削減が人類の避けられない課題となる中、クリーンエネルギーとして再評価されつつあった原発に代わるものが、すぐにはないからだ。
 とりわけ膨大な人口を抱えて急成長する中国やインドでは、激しい原発ラッシュが予定されてきた。早くも世界のあちことでブレーキがかかり始めたが、その分だけ画期的な新エネルギーの開発や省エネルギーの技術革新を急がなければならなくなる。価値観の転換も迫られよう。
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11と311。日本にとってはもちろんのこと、世界にとっても今度の方が深刻かもしれない。福田康夫元首相もそう見る一人だ。小泉内閣の官房長官として9・11の重みを強く実感していたが、今度のことは「文明の衝突」を超え、まさに全人類の文明に関わるからだと言う。
 「日本の原発は世界で一番安全」と公言してきた国でもある。広島・長崎という悲惨な原爆体験があればこその自負だったが、その原発が大津波の対策を甘く見て墓穴を掘った。なんとも大きな歴史の皮肉に違いないが、それは日本に対して真っ先にエネルギーの本格的な発想転換を促したものと言えよう。こうして2つ目の11日も、文明史的な大事件として21世紀初頭に刻まれるのではなかろうか。

'11.4.3. 朝日新聞・本社コラムニスト・*1若宮 啓文氏