散歩道<4254>  
                     
                              社説・暮らしの復興              (1)〜(2)続く
                            被災者と故郷の明日を(2)

 ではどこに住むか・・・。被災者はもう一つの重い現実に突き当たる。
 津波にのみこまれた海岸に、再び居を構えようという人は少ないだろう。山が迫る湾沿いに、残った土地は少ない。港近くの高台への住宅移転を検討する市もある。土地の権利調整という難題もある。行政と商業施設を一緒に移さねばならない街もあろう。
 高齢化がすすむ地域でもある。再建の余力のない世帯は、復興公営住宅に入ってもらう形になるかも知れない。孤立する人が出ないよう、住民のきずなを維持する工夫も必要だ。
 街ずくりとともに、なりわいの復興は難しい課題だ。漁港も養殖場も工場も甚大な被害を受けた。すべての復旧はかなわない。産業施設をある程度集約し、災害に強い、活気のある海洋都市を目指すしかない。
 市外、県外を含む避難生活から、仮設住宅を経て、自立まで。将来を見通せなければ、ふるさとに見切りをつける人、集落ごと転出を選ぶ例も出てこよう。長い、険しい道のりが続く。
 政府がすべきことは何か。
 自冶体と知恵を絞り、生活や住環境の再建を支援する財源をきちんと用意する。前例にとらわれず、被災地・被災者の事情にあった制度を整える。その上でどんな街を再生し、暮らしを落ち着かせるか。被災者自身が復興の道筋を話し合い、絵を描き、選択できるよう、明かりをともし続けることだ。

'11.3.28.朝日新聞

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