散歩道<4232> 
   
                         オピニオン・3・11                      
                          
 ネット使って支援策募れ(2)                  (1)〜(2)続く

 ボランティアの支援を制限している現状も早めに見直したほうがよい。被災地の人々を励ます、あるいは生活の援助をするメニューの考案は急がなくてはならない。むしろ、インターネットなどを通じて、積極的にアイデアを募るべきだ。ネットはデマや流言飛語の温床にもなるが、民間の知恵の集積地にもなる。
 そのためにも、正確な事実を広めていくことが重要だ。とりわけ、原発についての説明がこれまで十分でないことが気になる。深刻で重大な事態に陥っているならばそれを国民にきちんと知らせないと、逆に不安やストレスをあおる結果となる。
 1979年の米スリーマイル島事故のとき、私は隣のオハイオ州にいて、事故発生直後から住民心理の推移を間近に見聞きし、目に見えない災害に見舞われた際のストレスの大きさを実感した。
 パニックは事実の隠蔽
(いんぺい)が引き起こす。どんなに深刻な状況でも、事実に直面すれば起きない。デマも同様で、曖昧模糊(あいまいもこ)としたものを解釈する課程で生まれる。一般大衆の願望、疑い、恐れが物語りへと組み込まれた、一種の作品なのだ。
 民衆の創造力は、被災者を支援したり、元気づけたりする方策にこそ使われるべきだ。先日のタイガーマスク運動をみえば、潜在的に善意を持つ人は多いことが分かる。みんなが参加したくなるような新しい道筋を考えていきたい。例えば、突然の節電を人気アニメに重ね「ヤシマ作戦」と呼ぶ工夫などは面白い。日本の大衆運動はともすれば禁欲的になりがちだが、長期戦を乗越えるには、空想や脱力感も欲しい。
 そして、うっかりしていると混入しがちな、根拠のないうわさや風評に惑わされないことだ。日本はそれができるだけ十分に成熟した共同体であるはずだ。

'11.3.16.朝日新聞・東京女子大教授・広瀬 弘忠さん

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