散歩道<4184>

                            記者有論・「地」の多様性(2)                       (1)〜(2)続く
                            日本列島は大地の博物館

 この探究で鍵となるのが、プレート理論だ。地球は幾枚もの岩盤(プレート)に覆われているとする考え方がある。
 プレート運動は、私たちに地震などの災害をもたらしてきたが、その一方でモザイクのように入り組んだ地質模様を生み出すのに一役買ったという。
 大昔から東アジアでは、海岸のプレートが大陸方面へ押し寄せ、さまざまな堆積
(たいせき)物や岩石を次々運んできた。これが「付加体」として大陸のへりにくっつき、3000万〜1500万年ほど前に大陸から分かれた日本列島の土台の主材料になった。だからこそ、列島の大地には、遠くの海底から届いた億年を超える古さの多様な岩石が豊富にあるというのである。
 さらにプレートは、内陸の活断層や火山活動にも影響を与え、列島の地形を起伏に富んだものにした。
 私たちの足もとには、地球規模の変動の記憶がしっかりと刻みこまれているらしい。京都府木津川市にある国際高等研で開かれた研究会の初会合では「地質や地盤の情報は国民共有の財産」という意見も出た。
 地の多様さを知れば、場所に応じてきめ細かく防災の手を打てるようになる。だが、そういう実益ばかりではない。
 風景を眺めるとき、樹木や花だけでなく大地もひとつながりにとらえる楽しみが得られる。それは、私たちの「島」が地球という惑星の一部であることを実感させてくれるだろう。

'11.1.20.朝日新聞・編集委員・*1尾関 章さん

関連記事:散歩道<検>氏名・*1尾関 章さん4155.<検>環境、地震、<検>災害、