散歩道<4058>

                          経済気象台(629)・格差が変革へのバネだ   

 従業員が1万人を超える大企業になると、若者の早期退職者は殆どない。入社後3年たっても1%から2%に過ぎない。中卒者の7割、高卒者の5割が、大卒者の3割が3年以内に離職することを七・五・三現象などと言うが、大企業の離職率の低さを、皆何となく分かっている。
 若者の数は減っているのに、大学生の数は増えている。1985年は185万人だったが、2010年には288万人になっている。いうまでもなく進学率が変わっているからだ。85年は26.5%。10年は54.4%である。今後も「中卒」ですぐに就職する若者は限りなく少なくなり、大卒の早期退職者は増加していくだろう。
 大企業の採用数は増えていにので「入り口」が狭くなるのは当然である。分数が分からない大学生などと揶揄
(やゆ)されるが、エントリーシートを何百通書こうと、無理なものは無理である。「大卒」がかっての「高卒」「中卒」の職場にいくのは自然の成り行きといえよう。
 相変わらず「格差論」が大はやりだが、日本は良い国である。若者の半分が大学にいける国が世界に幾つあるだろう。大学で若者がどのように時間を過ごすかは自由である。その過ごした時間の結果を自ら引き受ければそれでよいのだ。格差を論じる人たちは、「かわいそうな若者」を例示し、問題の所在を、社会や会社の側に求めるが、「恵まれない若者」がいることがそんなに悪いことだろうか。
 いつの時代でも格差
*1はある。残念なことだが、それが変革へのバネの一つになってきたのも事実だ。失われたのは若者のハングリー精神である。若者自身に怒りが乏しいことこそが危機である。

'10.11.17.朝日新聞 

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