散歩道<4025>
                          論説委員から・窓中国式MBA                  ・・・・・発想を変える

 米国型経営が華(はな)やかなころは企業からMBA(経営学修士)がもてはやされたものだ。米金融危機でそのブームもさったのかと思ったら、中国ではますます熱を帯びているそうだ。いまや、世界のMBA修得者の半分、25万人が毎年、中国の大学から出ているという。
 先日、アジア太平洋11カ国・地域の140大学が参加するビジネススクール協議会の総会が横浜で開かれた。ここでも議論をリードしたのは、最大勢力の中国だ。精華大学など50校が加盟している。
 中国はなぜこれほど熱心なのか。青井倫一
(みちかず)慶応大大学院教授は「世界でビジネスの国際標準化競争が起きている。中国は今は米国型経営を必死に学ぶが、いずれ自分たちに有利なチャイナ・ウェーを根ずかせたいと考えている」と言う。
 例えば米国の企業会計で求める透明性
(とうめいせい)も、中国流だとかなりゆるくなる。中国企業の帳簿(ちょうぼ)には公表用、税務用、家庭用*1の3種類があるといわれるほどだ。
 米欧
(べいおう)を押しのけ自国流を国際ルールにできれば、世界での商売がやりやすくなる、中国政府も国家資本主義との調和を図るため後押ししているらしい。
 その成否は日本にとっても他人事
(たにんごと)ではないのだが関心があまりに薄い。自国開催の総会にもかかわらず参加したのは慶応大や関西学院大など4校だけで、10校以上のインドや韓国より少ない。
 貪欲
(どんよく)な中国と淡白(たんぱく)な日本。企業競争力の低下はどうやらデフレや円高のせいばかりではなさそうだ。

'10.12.8.朝日新聞

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